日本で唯一市販されていた「動物用ツベルクリン」の製造が終了したいま,サル類の結核検査は大きな転換点を迎えています。SPDPの調査によると,アメリカにはサル類用ツベルクリンが一品目市販されていることが判明しました。この製品を日本に輸入できれば,これまで同様ツベルクリン試験を続けることが可能です。しかし日本では未承認,しかもワクチンなどと同じ生物学的製剤に該当する海外製品ですから,輸入にあたって厳しい規制が想定されます。どうすればこれを輸入することができるのか,国内未承認動物用医薬品の輸入を所管する農林水産省の担当部署に相談してみました。
【相談先】
農林水産省 消費・安全局 畜水産安全管理課 薬事監視指導班
(以下,薬事監視指導班)
【相談内容】
1.問い合わせの背景について説明
- サル類の健康を管理する上でツベルクリンは必須。
- 国内で唯一市販の動物用ツベルクリンが製造終了。
- サル類を飼育する国内全ての試験研究施設,展示施設は重大問題に直面している。
- アメリカには代替可能な製品が市販されているが,販売元の日本法人に問い合わせたところ,これを輸入・販売する意思はないとのこと。
2.問い合わせの対象製品
Tuberculin Mammalian, Human Isolates Intradermic
製造元:Colorado Serum Company
販売元:ZOETIS US
(以下,ZOETIS MOT)
3.問い合わせ事項
1)ZOETIS MOTを日本に輸入することは可能か
2)もし可能であれば,どのような手続きが必要か
4.薬事監視指導班の回答
Q1)ZOETIS MOTを日本に輸入することは可能か
A1)今回お問い合わせいただいた製品について、試験研究用目的という形で輸入することができると判断いたしました。
Q2)もし可能であれば,どのような手続きが必要か
A2)動物用医薬品を輸入するには、「動物用医薬品等輸入確認申請」を行っていただく必要がございます。
当申請について、農林水産省のホームページ(下記URL)にて申請方法・必要書類等のご案内を掲載しておりますので、ご一読いただきたく存じます。
ホームページ上の「試験研究(治験、商品見本を含む。)の目的等、上記以外の目的で使用するために動物用医薬品等を輸入する場合」が今回の該当箇所となります。
【重要なお願い】薬事監視指導班のコメントを受けて
これまで難しいと考えられていた動物用ツベルクリンを輸入する手続きの概要が当局から示されました。売買目的で輸入することはできず,使用者が購入ごとに手続きする個人輸入という道筋です。今までは国内販売店に発注していたことを考えると,格段とハードルが高まった印象は否めません。前例のない手続きを購入者自身で執る必要があり,当面の混乱が懸念されます。これを避けるべく,情報の発信元として以下の通り皆様のご協力をお願いを申し上げる次第です。
1)薬事監視指導班に同じ内容を確認するためのお問い合わせ,ご相談は厳にご遠慮ください。
業務繁多な同部署にご迷惑を掛けることのないよう,今回の相談に際して薬事監視指導班に約束申し上げた事項です。ご配慮の程,何卒お願い申し上げます。
2)購入・輸入手続きの実際について調査中です。
ZOETIS MOT取扱会社,輸送・通関手続き,また動物用医薬品等輸入確認申請の書式や手続き方法など,具体的な購入手順について後日取りまとめてお知らせする予定です。皆様お急ぎとは思いますが,ZOETIS MOTのご購入手配はそれを待っていただくと円滑に進むと存じます。
3)関連情報をお寄せください。
アメリカで同製品を供給している販売業者,製品の輸送および通関代行業者についてご存知の方がいらっしゃいましたら,ぜひ情報をお寄せください。SPDPのサイトを介して国内の関係者と共有いたします。